Razor Pages, MVC, Blazorの使い分けとは?|それぞれの特徴と使いどころを徹底比較|ASP.NET×Blazor入門 1.3
1.3 Razor Pages, MVC, Blazorの使い分け
ASP.NET Coreには、見た目がよく似た3つの開発スタイル――Razor Pages、MVC、そしてBlazor――があります。
いずれも「.cshtml」や「Razor構文」を用いるため、表面的には同じように見えるかもしれませんが、その背後にある設計思想やアーキテクチャは大きく異なります。
開発対象や要件に応じて、これらを正しく使い分けることが、効率的なWebアプリケーション構築への第一歩となります。
Razor Pages ― ページ指向でシンプルな構成
Razor Pagesは、1ページ=1ファイルという明快な構造が特徴です。
各ページに対応するコードビハインド(`.cshtml.cs`)と合わせて、処理を完結できるため、学習コストが低く、扱いやすい設計です。
特に、フォーム送信やデータ表示などの静的でシンプルな画面構成に適しており、小規模な管理画面やCRUDアプリに多く採用されています。
MVC ― コントローラー中心で高い拡張性
ASP.NET MVCは、Model-View-Controllerという明確な分離構造を持つアーキテクチャです。
リクエストはコントローラーが受け取り、ビジネスロジックをモデルで処理し、その結果をビューに渡してレンダリングするという流れで構成されます。
複雑なルーティング設計、セキュリティ要件、ロールベース認可などを柔軟に制御できるため、中〜大規模な業務系Webアプリに向いています。
Blazor ― コンポーネントベースでインタラクティブなUI
Blazorは、C#のみでUIとロジックを構築できる、コンポーネント志向のSPAフレームワークです。
Blazor Server(SignalRによるリアルタイム通信)とBlazor WebAssembly(WASMによるクライアント実行)の2つの実行モデルがあります。
JavaScriptを使わずにインタラクティブなWebアプリを構築できる点が大きな特徴で、UIコンポーネントの再利用性にも優れています。
ユーザー操作が多いダッシュボードや対話型アプリなどに最適です。
3つの使い分けまとめ
- Razor Pages: 単純なページ構成やフォーム処理に。スピード重視の小規模開発に向く。
- MVC: 明確な責務分離とルーティング管理が必要な中〜大規模Webアプリに。
- Blazor: クライアント側での動的処理が多く、SPAを前提とした高度なUI構築に適する。
見た目こそ似ていても、その中身はまったく別の技術体系です。だからこそ、プロジェクトの目的に応じた選択が、開発効率や保守性を大きく左右します。
次のセクション 「なぜBlazorが注目されているのか(SPAとの違い)」では、Blazorが再び注目を集めている理由と、従来のSPAとの違いについて深く掘り下げていきましょう。
下田 昌平
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