しくみから応用まで、1冊でマスターする完全ガイド
第0章:はじめに
いま、世の中には数えきれないほどのプログラミング言語が存在しています。
JavaScript、Java、C言語、Go、Rust、Ruby…それぞれに歴史と特長があります。
その中で、ここ数年で一気に存在感を高めたのが「Python」という言語です。
かつては研究者や一部の愛好家のものでしたが、いまや教育現場から大企業の基幹システムまで、あらゆる場所で使われています。
なぜPythonなのでしょうか? そして、なぜ今、Pythonを学ぶべきなのでしょうか?
この本は、その問いに真剣に向き合いながら、「Pythonを武器にしたい」と思っているすべての人のために書かれました。
この本の対象読者
本書は、プログラミングに初めて触れる方はもちろん、過去に別の言語をかじった経験がある方、あるいは業務でPythonを少しだけ使っているけれど「本質がわからない」と感じている方にも向けて書かれています。
特に、以下のような方には最適な内容となっています:
- Pythonを使って、仕事の自動化や分析を行いたい社会人
- エンジニアとしてのキャリアを考え始めた大学生・専門学生
- AI・機械学習の世界に足を踏み入れたいと考えている学習者
- 現場で書いているけど「なんとなく使っている」状態から脱したいエンジニア
この本で目指すこと
本書のゴールは、単なる「入門書」を超えて、読了後にはPythonを“使いこなせる”自分になっていることです。
そのために、次の3つの指針を大切に構成を設計しました:
- 基礎を着実に積み上げる構成:コードの書き方だけでなく、その背後の仕組みや意味を丁寧に説明します。
- 実践的な応用まで網羅:データ分析、Webアプリ、業務自動化、データベース操作まで扱います。
- 章末にはマニアックな“Python Deep Dive”:Pythonらしい奥深さに触れる、上級者向けのミニコーナーです。
目次
- 第0章:はじめに
- 第1章:Pythonの基本文法を学ぶ
- 1.1 変数とデータ型
- 1.2 条件分岐とブール値
- 1.3 繰り返し処理(for, while)
- 1.4 コレクション型:リスト・タプル・辞書・集合
- 1.5 型の自動変換と型チェック
- Python Deep Dive:is と == の違いでハマる理由とは?
- 第2章:関数とスコープの理解
- 2.1 関数定義と引数の扱い方
- 2.2 戻り値と副作用
- 2.3 変数スコープと名前空間
- 2.4 ラムダ式と関数型スタイル
- Python Deep Dive:関数は“第一級オブジェクト” ― その意味とは?
- 第3章:モジュールとパッケージ
- 3.1 importと標準ライブラリの利用
- 3.2 自作モジュールの構成と読み込み
- 3.3 パッケージ構造と階層的設計
- Python Deep Dive:__pycache__と.pycファイルの裏側
- 第4章:オブジェクト指向プログラミング(OOP)
- 4.1 クラス定義とインスタンス生成
- 4.2 コンストラクタとメソッド
- 4.3 継承とオーバーライド
- 4.4 特殊メソッドとPython的OOPの特徴
- Python Deep Dive:__new__と__init__はどう違う?
- 第5章:ファイル操作と例外処理
- 5.1 ファイルの読み書き(Text/CSV/JSON)
- 5.2 ファイルパスとOS操作
- 5.3 例外処理の基本とベストプラクティス
- Python Deep Dive:エンコーディング地獄 ― UTF-8 vs Shift_JIS
- 第6章:並列処理と標準ライブラリ
- 6.1 スレッドとプロセスの違い
- 6.2 threading, multiprocessing, concurrent.futures
- 6.3 標準ライブラリの便利道具たち
- Python Deep Dive:GIL(Global Interpreter Lock)の正体
- 第7章:テストとデバッグの実践
- 7.1 単体テストの基本(unittest)
- 7.2 pytestによる効率的なテスト
- 7.3 デバッガの使い方とテスト設計
- Python Deep Dive:hypothesisによるプロパティベーステスト入門
- 第8章:データ分析と可視化
- 8.1 NumPyによる数値配列処理
- 8.2 pandasで表形式データを扱う
- 8.3 MatplotlibとSeabornによる可視化
- Python Deep Dive:pandasの“SettingWithCopyWarning”とは何か?
- 第9章:Webアプリ開発入門(Flask編)
- 9.1 Flaskの基本構成とルーティング
- 9.2 テンプレートエンジンとフォーム
- 9.3 API設計とJSON通信
- 9.4 デプロイの基本(Heroku, Renderなど)
- Python Deep Dive:WSGIって何?Flaskの裏にある仕組み
- 第10章:Pythonで自動化しよう
- 10.1 Excel・PDFの操作
- 10.2 ファイル処理と命名規則の自動化
- 10.3 Webスクレイピング(BeautifulSoup, Selenium)
- Python Deep Dive:CAPTCHAを自動化できる?人間らしいBot設計
- 第11章:データベースとPython
- 11.1 SQLiteによる軽量DB操作
- 11.2 SQLAlchemyでのORM設計
- 11.3 外部DB(PostgreSQL/MySQL)との接続
- Python Deep Dive:ORMに潜むN+1問題とは?
- 第12章:Pythonの高度な機能たち
- 12.1 イテレータとジェネレータ
- 12.2 デコレータとクロージャの魔法
- 12.3 型ヒントと静的解析(mypy)
- 12.4 コードスタイルとPEP8
- Python Deep Dive:無限リストと遅延評価の楽しみ方
- 第13章:機械学習を体験してみよう
- 13.1 scikit-learnで始める機械学習
- 13.2 学習→予測→評価の基本プロセス
- 13.3 線形回帰・分類・クラスタリングの例
- Python Deep Dive:fit()とpredict()の裏側コードを読んでみる
- 第14章:実践プロジェクトで学ぶPython
- 14.1 コマンドラインアプリの構築(Todo管理)
- 14.2 スクレイピング+自動レポート
- 14.3 データダッシュボード(Flask+pandas)
- 14.4 チーム開発とGitの連携
- Python Deep Dive:プロジェクト構造の最適解は“src構成”?
- 付録
- A. Python用語集
- B. よくあるエラーと対処法
- C. 次の一歩:Web、AI、ゲーム、データ基盤へ
「Hello, World!」から始まり、最後には本格的なプロジェクトを一人で構築できる状態を目指します。
この第0章の構成について
本章「はじめに」では、Pythonという言語の全体像と、この本の使い方、そして学習環境の準備について解説していきます。
以下のような構成で進めていきます:
- 0.1 Pythonとは何か?
── Pythonの歴史や特徴、どんな場面で使われているかを紹介します。 - 0.2 なぜ今Pythonなのか?
── 現代におけるPythonの需要と強みについて、実例を交えて解説します。 - 0.3 この本の構成と学習の進め方
── 学習のコツや、読み進める上でのガイドラインを示します。 - 0.4 開発環境の準備(VSCode, Jupyter, 仮想環境)
── Pythonを書くための最小限で最適な開発環境の構築方法を解説します。
それでは、さっそく次のセクション「0.1 Pythonとは何か?」に進みましょう。 この一歩が、あなたとPythonとの長く実りある関係の始まりになることを願って。
下田 昌平
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