ASP.NET と Blazorでウェブアプリケーション構築|ASP.NET×Blazor入門

はじめに

Webアプリケーションの世界は、ここ数年で大きく様変わりしました。サーバーサイドとクライアントサイドが複雑に絡み合い、JavaScript、SPA、REST API、認証、クラウドといった要素が常に開発者を取り巻いています。

その中で注目されているのが、C#だけでクライアントとサーバーの両方を開発できる新しいWebアプリの形、すなわち Blazor(ブレイザー) です。

Microsoftが提供するBlazorは、ASP.NET Coreの中に含まれるフレームワークで、.NET開発者が JavaScriptを使わずにSPA(Single Page Application)を構築できる という点で、今、強く支持されています。

本書(本連載)では、Blazorを使ってUIとロジックをC#で一貫して開発する手法を、ASP.NETの理解をベースに丁寧に解説していきます。

本書で目指すこと

  • ASP.NET CoreとBlazorの技術的背景と役割を理解すること
  • 実際のアプリケーションをBlazorで構築できるようになること
  • 開発環境構築からデプロイまで、現実的な開発手順を身につけること

読者はこの本を通じて、サンプルアプリを作りながらBlazorの基本機能や構造、考え方を体得し、最終的には実務にも適用できるレベルのWebアプリケーションを構築できるようになります。

想定読者

本書は、以下のような方を主な対象としています。

  • ASP.NETやC#をある程度使ったことがあり、Webアプリ開発に本格的に取り組みたい方
  • JavaScriptやフロントエンド開発の複雑さに悩んでいる.NET開発者
  • サーバー・クライアント一体型でのSPA構築に関心があるエンジニア
  • 小〜中規模の社内業務アプリを効率よく開発したい方

※C#の基礎文法がわかる前提で進みますが、Blazor固有の知識は不要です。

本書の進め方

本書は、全12章構成でBlazorアプリ開発の流れを段階的に学べるように設計されています。プロジェクトの作成、UI設計、データ取得、認証、状態管理、そして実践的なCRUDアプリの構築に至るまで、実際の開発フローに沿って知識を積み重ねていきます。

各章では必ず「動くコード」を掲載し、理論だけで終わらない“手を動かして学ぶ構成”を大切にしています。

.NET開発者がフロントエンドまで一貫して担える時代がきました。本書を通じて、あなたのWeb開発に新たな可能性を広げるお手伝いができれば幸いです。

次章「第1章:ASP.NETとBlazorの全体像」では、まずBlazorという技術の位置づけと、他のWebフレームワークとの違いについて整理していきましょう。

第1章:ASP.NETとBlazorの全体像

第2章:開発環境の構築と基本プロジェクトの作成

第3章:Razor構文とコンポーネント設計入門

第4章:データバインディングとイベント処理

第5章:ルーティングとナビゲーション

第6章:サーバー通信とAPI連携

第7章:認証と認可

第8章:状態管理とDI

第9章:Blazor WebAssemblyとServerの違い

第10章:コンポーネントライブラリとUI強化

第11章:実践プロジェクト構築

第12章:テストとデプロイ

巻末付録

  • A. 各種ライブラリリンク集
  • B. よくあるエラーと対処法
  • C. セキュリティベストプラクティス
2025-04-01

下田 昌平

開発に関するインプットをアウトプットしています。